はじめに
厚生労働省は令和7年度(2025年度)の地域別最低賃金改定の目安を8月4日に公表しました。
今回の改定では、全国加重平均が 1,118円 と過去最高水準に達し、昨年度の1,055円から 63円の引上げ が見込まれています。
引上げ率は 6.0% と昨年度の5.1%を上回り、過去最大の上昇幅です。
また、8月16日までの答申状況をみると関西では、兵庫+64円の1,116円、奈良+65円の1,051円、と改定の目安額より増額されていますので、引き続き答申の結果が注目されます。
最低賃金は労働者の生活を守る重要な制度である一方、企業の人件費や経営に大きな影響を与えます。特に中小企業においては、最低賃金改定への対応が経営課題となるケースも少なくありません。
改定の目安概要
今回の改定目安は都道府県を3つのランクに分類し、それぞれに統一的な引上げ額が示されました。確定ではなく、今後の答申状況に注視が必要です。
- Aランク(東京・神奈川・大阪・愛知・埼玉・千葉):+63円
- Bランク(北海道・宮城・福島・静岡・京都・兵庫・福岡など):+63円
- Cランク(青森・秋田・岩手・山形・鳥取・高知・佐賀・沖縄など):+64円
大阪はAランクに属し、昨年度の1,114円から1,177円へ引上げ られる見込みです。
現時点では、もっとも引上げ額が大きいのは石破首相の地盤である鳥取県の73円、次いで、70円の石川県、69円の福井県となっており、統一的な引き上げ額よりも引き上げ額が大きい都道府県があるのが今回の答申状況です。
令和7年度 都道府県別 最低賃金額(目安どおり引上げの場合)
※正式決定は各都道府県の審議会を経て、2025年10月頃から順次適用予定です。
令和7年度 都道府県別 最低賃金額(目安どおり引上げの場合+8月19日現在)
都道府県 | 令和6年度額 | 引上げ目安 | 令和7年度目安額 |
---|---|---|---|
北海道 | 1,010円 | +65円 | 1,075円 |
青森 | 953円 | +64円 | 1,017円 |
岩手 | 952円 | +64円 | 1,016円 |
宮城 | 973円 | +65円 | 1,038円 |
秋田 | 951円 | +64円 | 1,015円 |
山形 | 955円 | +64円 | 1,019円 |
福島 | 955円 | +63円 | 1,018円 |
茨城 | 1,005円 | +69円 | 1,074円 |
栃木 | 1,004円 | +64円 | 1,068円 |
群馬 | 985円 | +63円 | 1,048円 |
埼玉 | 1,078円 | +63円 | 1,141円 |
千葉 | 1,076円 | +64円 | 1,140円 |
東京 | 1,163円 | +63円 | 1,226円 |
神奈川 | 1,162円 | +63円 | 1,225円 |
新潟 | 985円 | +63円 | 1,048円 |
富山 | 998円 | +64円 | 1,062円 |
石川 | 984円 | +70円 | 1,054円 |
福井 | 984円 | +63円 | 1,053円 |
山梨 | 988円 | +69円 | 1,051円 |
長野 | 998円 | +63円 | 1,061円 |
岐阜 | 1,001円 | +63円 | 1,064円 |
静岡 | 1,034円 | +63円 | 1,097円 |
愛知 | 1,077円 | +63円 | 1,140円 |
三重 | 1,023円 | +64円 | 1,087円 |
滋賀 | 1,017円 | +63円 | 1,080円 |
京都 | 1,058円 | +63円 | 1,121円 |
大阪 | 1,114円 | +63円 | 1,177円 |
兵庫 | 1,052円 | +64円 | 1,116円 |
奈良 | 986円 | +65円 | 1,051円 |
和歌山 | 980円 | +63円 | 1,043円 |
鳥取 | 957円 | +73円 | 1,030円 |
島根 | 962円 | +71円 | 1,033円 |
岡山 | 982円 | +63円 | 1,045円 |
広島 | 1,020円 | +65円 | 1,085円 |
山口 | 979円 | +63円 | 1,042円 |
徳島 | 980円 | +63円 | 1,043円 |
香川 | 970円 | +63円 | 1,033円 |
愛媛 | 956円 | +63円 | 1,019円 |
高知 | 952円 | +64円 | 1,016円 |
福岡 | 992円 | +63円 | 1,055円 |
佐賀 | 956円 | +64円 | 1,020円 |
長崎 | 953円 | +64円 | 1,017円 |
熊本 | 952円 | +64円 | 1,016円 |
大分 | 954円 | +64円 | 1,018円 |
宮崎 | 952円 | +64円 | 1,016円 |
鹿児島 | 953円 | +64円 | 1,017円 |
沖縄 | 952円 | +64円 | 1,016円 |
大阪企業への影響
大阪は1,177円への引上げが見込まれ、飲食・小売・介護など人材不足業界への影響が特に大きいと予測されます。また、パートタイマーを多く雇用されている企業には、かなりの負担となります。最低賃金近くで雇用している企業は、早急に給与規程や労務管理の見直しが必要です。
一方で、最低賃金の上昇は 従業員の定着率向上や採用競争力の強化 にもつながる可能性があります。人件費負担だけでなく、企業力強化の契機と捉えることが重要です。
まとめ
- 全国加重平均は 1,118円(+63円、6.0%増)
- 大阪は 1,177円 へと過去最大の引上げ(今後の答申状況に注視が必要です。)
- 中小企業には 賃金規程や人件費管理の見直し が急務
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