企業負担・年収別影響を社労士が図解でわかりやすく解説

目次
この記事で分かること
- 子ども・子育て支援金制度の全体像
- 企業・従業員にどれくらいの負担が生じるのか
- 年収別に見た具体的な負担額
- 人事労務担当者が今から準備すべき実務対応
1.子ども・子育て支援金制度とは?
「子ども・子育て支援金制度」は、少子化・人口減少が深刻化する中で策定された
こども未来戦略「加速化プラン」を財政面から支える新制度です。
この制度のポイントは、
- 子育て世帯だけでなく
- 全世代・全経済主体(企業・個人)が
- 社会全体で子ども・子育てを支える
という点にあります。
企業にとっては、新たな社会保険料に準じた負担が発生する制度であり、
人件費管理・給与計算・就業規則への影響は避けられません。
2.支援金は何に使われる?【制度全体像】
図表① 子ども・子育て支援金で拡充される主な給付
| 区分 | 内容 | 実施時期 |
|---|---|---|
| 児童手当 | 所得制限撤廃/高校生年代まで延長/第3子以降 月3万円 | 令和6年10月~ |
| 妊婦支援給付 | 妊娠届出時5万円+妊娠後期以降 子ども数×5万円 | 令和7年度~ |
| 出生後休業支援給付 | 両親育休取得で最大28日 手取り10割相当 | 令和7年度~ |
| 育児時短就業給付 | 2歳未満の時短勤務に賃金の原則10%給付 | 令和7年度~ |
| 国民年金保険料免除 | 育児期間中の第1号被保険者 | 令和8年10月~ |
| こども誰でも通園制度 | 0歳6か月~満3歳、月10時間まで | 令和8年度~ |
👉 企業実務に直結するのは
「出生後休業支援給付」「育児時短就業給付」です。
3.いつから徴収?どのくらい増える?
図表② 制度開始と負担の仕組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 徴収開始 | 令和8年4月分保険料(5月納付)から |
| 徴収方法 | 医療保険料とあわせて徴収 |
| 負担構造 | 被保険者本人+事業主 |
| 支援金率 | 国が一律設定(段階的導入) |
| 最終水準 | 令和10年度で 約0.4% |
給与明細では、
医療保険料と区分して「子ども・子育て支援金」が表示される予定です。
4.【完全準拠】年収別に見る支援金負担額
図表③ 被用者保険|年収別 支援金額(本人負担分)
※令和10年度(支援金率 約0.4%相当)
※政府試算に準拠
| 年収の目安 | 月額支援金 | 年額支援金 |
|---|---|---|
| 約200万円 | 約350円 | 約4,200円 |
| 約300万円 | 約550円 | 約6,600円 |
| 約400万円 | 約650円 | 約7,800円 |
| 約500万円 | 約1,000円 | 約12,000円 |
| 約600万円 | 約1,350円 | 約16,200円 |
| 約700万円 | 約1,650円 | 約19,800円 |
| 約800万円 | 約1,800円 | 約21,600円 |
ここが重要
- 上記は 従業員本人負担分のみ
- 事業主負担分は別途発生
- 高年収層ほど 企業の人件費増加インパクトが大きい
5.給与明細はどう変わる?【実務イメージ】
図表④ 給与明細(表示イメージ)
| 項目 | 表示例 |
|---|---|
| 健康保険料 | ▲○○円 |
| 介護保険料 | ▲○○円 |
| 厚生年金保険料 | ▲○○円 |
| 子ども・子育て支援金 | ▲1,000円 |
| 差引支給額 | ○○円 |
👉 従業員からの質問・不満を防ぐため、事前説明が極めて重要です。
6.人事労務担当者向け【実務対応チェックリスト】
図表⑤ 今から準備すべきこと
| 項目 | 対応内容 |
|---|---|
| 給与計算 | 支援金控除・事業主負担の設定 |
| 給与明細 | 区分表示の可否確認 |
| 就業規則 | 育休・時短・給付制度との整合 |
| 人件費管理 | 2026年以降の人件費シミュレーション |
| 従業員説明 | 制度開始前の周知・FAQ整備 |
7.よくある質問
Q1.子育てしていない従業員も負担しますか?
A.はい。全世代・全被保険者が対象です。
Q2.会社の負担はどれくらい増えますか?
A.従業員負担と同様、標準報酬月額に応じて事業主負担が発生します。
Q3.賞与にもかかりますか?
A.医療保険料と同様、標準賞与額に基づき算定される予定です。
8.まとめ|「知らなかった」では済まされない制度です
子ども・子育て支援金制度は、
- 社会的意義が大きい一方
- 企業の人件費・給与実務に確実な影響を与える制度
です。
制度開始直前ではなく、
2025年中からの準備が、企業リスクを最小化します。
【CTA】大阪綜合労務管理事務所ができること
大阪綜合労務管理事務所では、
- 子ども・子育て支援金を踏まえた
人件費シミュレーション - 給与明細・就業規則・育児介護規程の見直し
- 従業員向け説明資料(PDF・社内配布用)の作成
まで、実務に直結した支援を行っています。
「うちの会社の場合、具体的にいくら増える?」
「従業員説明をどうすればいい?」
といったお悩みがあれば、ぜひご相談ください。

