
個人事業者等の安全衛生対策強化と「注文者・元方事業者」に求められる新たな責任
2026年(令和8年)以降、改正労働安全衛生法が段階的に施行され、これまで主に「労働者」を対象としていた安全衛生対策が、【個人事業者(フリーランス・一人親方等)】にも大きく広がります。
特に、企業経営者・人事労務担当者の皆さまが押さえるべき重要ポイントは、次の2点です。
- ① 注文者等に求められる「安全配慮義務」の明確化・拡大
- ② 混在作業場所における元方事業者等の措置義務対象の拡大
本記事では、実務に直結する視点で、改正内容の要点と対応ポイントを分かりやすく解説します。
改正の背景|なぜ今、個人事業者の安全衛生対策なのか
少子高齢化・人手不足が進む中、現場では次のような働き方が急増しています。
- フリーランス・業務委託
- 一人親方
- 副業・兼業人材
- 下請・再委託構造による混在作業
これまで労働安全衛生法の直接的な保護対象外となるケースも多く、
同じ作業場所で働いていても、安全管理の「空白地帯」が生じていました。
今回の改正では、
👉 「労働者と同じ場所で働く個人事業者等も含め、現場全体で災害を防止する」
という考え方が明確に打ち出されています。
【重要①】注文者等の配慮義務の拡大(建設業以外も対象)
● 注文者に何が求められるのか?
改正後は、建設業に限らず、
仕事を他人に請け負わせるすべての注文者
に対し、次のような配慮義務が明確化されました。
- 無理な 工期・納期・作業方法 を指定しない
- 安全衛生上のリスクを高める条件を付さない
- 必要な安全教育・検査費用を考慮した契約内容とする
つまり、
「委託だから関係ない」
「労働者ではないから対象外」
という考え方は通用しなくなります。
● プラットフォーム事業者も要注意
アプリやシステムを通じて仕事を発注・調整する場合、
実質的に業務内容へ関与していれば「注文者」に該当する可能性もあります。
【重要②】混在作業場所における元方事業者等の措置義務対象の拡大
● 対象は「労働者」だけではない

改正前
→ 元方事業者の義務対象は 自社労働者・請負労働者
改正後
→ 個人事業者等を含む「すべての作業従事者」へ拡大
具体的には、以下の措置が求められます。
- 作業間の連絡調整
- 危険箇所・作業手順の共有
- 災害防止に必要な指示・指導
これにより、「一人親方が多い現場」「複数事業者が同時に作業する現場」では、
元方事業者の責任が大きく強化されます。
企業が今から準備すべき実務対応ポイント
人事労務・安全衛生管理の観点から、次の点は早急な見直しが必要です。
✔ 契約書・発注条件の見直し
- 工期・作業方法が安全配慮を欠いていないか
- 安全教育・検査費用の負担区分は適切か
✔ 現場ルール・安全管理体制の再構築
- 個人事業者も含めた安全指示・連絡体制
- 混在作業時の責任範囲の明確化
✔ 社内周知・管理職教育
- 現場責任者が改正内容を理解しているか
- 「知らなかった」では済まされない体制づくり
【参加推奨】改正労働安全衛生法 説明会のご案内
厚生労働省では、
改正労働安全衛生法に関する公式説明会を全国13都市+オンラインで開催します。
この説明会では、
- 改正ポイントの体系的整理
- 注文者・元方事業者が負う責任の具体像
- 実務対応の考え方
を、国の担当者が直接解説します。
制度理解に不安がある経営者・人事労務担当者の方は、参加を強くおすすめします。
参考文献
本記事の内容は、厚生労働省が公表する「改正労働安全衛生法」に関する公式情報をもとに作成しています。具体的な法令の解釈や施行スケジュールについては、以下の厚生労働省公式ページを参照ください。
参考:
「改正労働安全衛生法(個人事業者等の安全衛生対策)」|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/an-eihou/index_00001.html

