なぜ今「高年齢者の労働災害防止指針」なのか?

令和8年2月10日厚生労働省より「高年齢者の労働災害防止のための指針」が公示されました

― 労働力不足時代を生き抜く、企業の「安全投資」戦略 ―

令和8年2月10日、厚生労働省より「高年齢者の労働災害防止のための指針」が公示されました。これは労働安全衛生法に基づき、企業に対して「シニア世代の特性に配慮した安全対策」を求めるものです。

「また新しいルールか……」と思われるかもしれません。しかし、この指針の裏には、日本の経営者が直面している「逃れられない現実」があります。

今回は、昨日の顧問先上場企業での安全衛生委員会においてお話しさせていただいた中で、特に反響の大きかった内容を凝縮してお伝えします。現場のリアルな悩みを知る私たちだからこそお伝えできる、明日からのヒントにしていただければ幸いです。


1. 「選べる時代」は終わった:日本の人口問題と労働力不足

現在、日本は未知の領域である人口減少社会に突入しています。

  • 生産年齢人口の激減:1995年をピークに下がり続けています。
  • 3割がシニア:65歳以上が総人口の約3割を占める超高齢化。
  • 「70歳就業」の現実:定年延長や再雇用により、現場の主役は確実に高年齢化しています。

もはや、高年齢労働者の活用は「選択肢」ではなく、「企業存続のための必須条件」といえる時代です。

2. 「不注意」で片付けない。身体の変化に寄り添う安全対策

加齢による身体機能の変化は、個人の「能力」や「やる気」の問題ではありません。誰にでも訪れる自然な変化です。

  • 身体の変化:筋力・バランス能力の低下、視力・聴力の減退。
  • 深刻な結果:転倒や熱中症のリスクが増大し、一度被災すると重篤化・長期休業に直結しやすい。

特に近年、40代後半から忍び寄る「フレイル(虚弱)」「ロコモ(移動機能低下)」が、職場での思わぬ事故を引き起こす要因として注目されています。「まだ大丈夫」という過信ではなく、今の状態を正しく知ることが、会社と社員を守る第一歩になります。

3. 指針が求める「5つのステップ」

厚労省の指針は、会社が具体的に何をすべきかの「道しるべ」を示しています。

  1. リスクアセスメント:シニア特有の危険源(段差、照明不足等)をまず見つける。
  2. 職場環境の改善:手すり設置、防滑対策、照度の確保。
  3. 作業管理の最適化:無理のないスピード設定、適切な休憩時間の確保。
  4. 健康・体力の把握:健康診断に加え、簡単な「体力チェック」の導入。
  5. 安全衛生委員会での対話:組織として、現場の声を聞きながら改善を続ける。

これらは単なる義務ではなく、万が一事故が起きてしまった際、会社が社員を大切に思って対策していたことを示す「安全配慮義務」の具体的な証となります。

4. 結論:高年齢者対策は「福祉」ではなく「経営戦略」

これからの時代、安全対策を整えることは、貴重な人材を失わず、高額な賠償リスクや企業イメージ低下から会社を守る「最大の経営戦略」です。

シニアが安全に働ける職場は、結果として若手や中堅層にとっても働きやすい「全員に優しい職場」になります。これこそが、採用難の時代に選ばれる会社になるための最高の投資です。

「若い基準」の安全から、「年齢に関わらず誰もが安全に働ける職場」へ。


よくある質問(FAQ)

Q. 指針を守らないと、すぐに罰則などの対象になりますか?

A. 直ちに罰則が科されるという性質のものではありません。 しかし、この指針は「安全配慮義務(会社が社員の安全を守る責任)」を果たすための大切な基準となります。万が一の事故の際、会社を守るための「備え」として、少しずつ取り組んでいくのが理想的です。

Q. どの年齢から対策が必要ですか?

A. 40代後半からの予防的対応が効果的です。 統計上は60歳以上で事故が増えますが、身体の変化は40代から始まっています。早めの意識付けが、長く元気に活躍してもらう秘訣です。


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